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Takahiro Kido

Takahiro Kido [Best 5 Music of 2013]

john Coltrane - A Love Supreme

John Coltrane – A Love Supreme

今年はJohn Coltraneの「A Love Supreme」の手書きの楽譜が公開されましたね。ご覧になりました?あの訳の分からない楽譜。音符と分かる箇所はほんの数小節で、あとはメモというか気持ちというか。。いやはや、ポスターにして欲しいくらいカッコええです。Tシャツでもいい。もちろん作品自体もカッコいいです。McCoy Tyner、Jimmy Garrison、Elvin Jonesという、最高のカルテットによる最高傑作ではないでしょうか。とは言え、僕みたいなJohn Coltraneファンにとっては「Blue Train」も「My Favorite Things」も「Olé Coltrane」も最高傑作なんですけどね。ホント、毎日聴いても飽きないです。パンだって毎日は飽きるのに。
モダンジャズと言えば、今年はJim Hallが亡くなりましたね。またひとり、巨匠が世を去りましたが、みんなたくさんの作品を残してくれて感謝です。

The Velvet Underground - The Velvet Underground

The Velvet Underground – The Velvet Underground

今年亡くなった音楽家と言えばLou Reedも記憶に新しいですね。偶然にもこのアルバムをよく聴いていた時に訃報が入ったので、なんだかものすごくショックでした。もちろんソロも好きな作品が多いのですが、僕が一番好きなのはThe Velvet Undergroundのサードアルバム。The Velvet Undergroundと言うと、あのノイジーでヘタクソなギターやヴィオラの演奏、都会的かつ頭のネジがハズれかけた詩の世界、Andy Warholの理解し難いプロデュース(※最後の以外は褒め言葉)がまず思い浮かびますが、ぜひともこの機会にこの暖かく優しいアルバムを聴いていただきたい。秘めた狂気も一緒にね。文字通りレコードが擦り切れるくらい聴き込みました。(古いレコードだったので購入した時から痛んでたけど…。)まさに時代を作った男です。

Jónsi & Alex - Riceboy Sleeps

Jónsi & Alex – Riceboy Sleeps

今年はSigur Rósのライブを見たんですが、やはりJónsiのあの独特なギターの音色(奏法)はカッコいいですな。ライブ中、ずーっとギター見てましたもん。で、そんな余韻のまま今年よく聴いたのがJónsi & Alexのアルバム。Sigur Rósじゃないんかい!って言われそうですが。。と言いますのも、僕は食事中に音楽(自分の仕事に関係ないもの)を聴く事が多いのですが、そういう時間ってとっても大事なんです。なので、そんな大切な時間をより良くするために、こんなあたたかいアンビエントミュージックなんかがあれば、もうそれだけで毎日の食事タイムがパーティー気分。どっちかと言うと…すごく静かなパーティーですけど。。大切な人とどうぞ。いないなら探そう。

Alfred Schnittke - Concerto for Piano 4 hands and Chamber Orchestra

Alfred Schnittke – Concerto for Piano 4 hands and Chamber Orchestra / Concerto for Piano and String Orchestra

さて、みなさん、音楽家は毎日、自身の音楽作品を作ってると思ってるんじゃないでしょうか?あるいはライブしたり楽器の練習したり。他の人は分かりませんが、少なくとも僕の毎日の大半はメールの返信と契約書の作成&サインで過ぎていきます。で、残った僅かな貴重な時間を利用して、景色のよい所へサイクリングに行ったり、事務所の近くの森でキノコ探したり。。まあ、その時間を自分の作品の作曲に充てろって意見もありますわな。うん。確かに。だが断る。
そんな話は置いておいて、実は今年、某国の某エージェンシーとの交渉で揉めに揉めまして。そんな時に心が折れないようによく聴いてたのが、この作品。うーん。まさに戦闘態勢って感じ。優しいピアノも好きだけど、こんなふうに「ハンマーでスチールぶっ叩いてるでー!」って感じの神経質な音色も好きなんです。ロックですわな。非常にカッコよいです。
ちなみに前述の問題は今も燻っております。

films - a forbidden garden

films – a forbidden garden

そんなこんなで、今年は自分が作曲を担当した音楽作品をリリースできなかったのですが、映画やらCMやらテレビのドキュメンタリー番組の音楽の作曲なんかはちょこちょこやっておりました。けど、そんな中、最も仕事量(時間)が多かったのがミキシングエンジニアとしてのお仕事でした。
で、紹介するのが今年リリースされたこのアルバム。恥ずかしげもなく、しゃあしゃあと、自分の属するユニットfilmsのセカンドアルバムです。このアルバムは僕がミキシングを担当したので、もちろん今回のテーマである「今年よく聴いたアルバム」になる事は間違いないのですが、単純に仕事抜きにしても本当に素晴らしい作品なんですよ。僕のパンク上がりのショボい作曲技術からは決して出て来ないであろう音の世界と言いますか…なんと言いますか。あの植松伸夫先生をして「羨ましい!」と言わせる作曲の才能ですよ。うん。そうね。来年は頑張ろう。

Takahiro Kido
Takahiro Kido
作曲家。2006年インストバンドAnoiceのメンバーとしてボストンImportant Recordsよりデビュー。ソロ名義Takahiro Kidoに加え、RiLF(Anoiceのメンバーとmatryoshkaのヴォーカリストcaluによるポストロックバンド), films(Anoiceのメンバーを含むダークファンタジーミュージックユニット), mokyow(AnoiceのメンバーとキーボーディストKenichi Kaiによるポストロックバンド), cru(AnoiceのYuki Murataとのポストクラシカルユニット)等のプロジェクトにも参加し、多くの作品をRicco LabelやPLOP等からリリース。
イギリスのCan Evgin監督映像作品「Internet is a Desert」の音楽をAnoiceのYuki Murataと担当し、ヴェネチア国際短編映画祭で受賞。Studio Mangosteenの短編アニメーション「Li.Li.Ta.Al.」の音楽を同じくYuki Murataと担当し、ベルリンやカンヌなどの国際映画祭にてノミネート、及び札幌国際映画祭で最優秀作曲賞受賞。モスクワ国際ヴィレンナーレにて、ウクライナのデザインユニットSYNとのインスタレーション「Enlightenment」を発表。ファッションブランド、アルマーニの短編映画の音楽を担当し、ミラノコレクションにて発表。東宝映画「ホノカアボーイ」に楽曲提供。オーストリア映画「Penerose」の音楽、及び音響エンジニアを担当。ニューヨークのElite Model ManagementをフィーチャーしたUKのRobin Masonの映像作品「Weekend」の音楽を担当。チェコ共和国のヤナーチェクシアターにて、音楽を担当したバレエ「Tanzbrucke 2011」を発表。ロンドンのアートユニットNEON O’CLOCK WORKSとインスタレーション「Krageneidechse」を発表。ルイヴィトン, Rag&Bone, フォード, Google, NTT, JT, SEEDなどの企業のCM音楽を担当。フランス「Purple」オランダ「Another」イギリス「POST」ベルギー「GONZO」等の多くのアート系マガジンの企画に参加している。
音楽レーベル/制作事務所Ricco Label主催。

http://fleursy.com/takahirokido
http://www.fleursy.com

■ リリース情報
・Takahiro Kido「タイトル未定」
2014年 Takahiro Kidoの5thソロアルバムリリース予定。
http://www.fleursy.com/riccolabel/index.html

・RiLF「Ferris Wheel」
RiLFの1stアルバムが今年の12月25日に特別価格1,000円で再リリースされます。現在2ndアルバム制作中。
http://www.fleursy.com/riccolabel/discography/ric011_japanese.html

・films「a forbidden garden」
今年リリースされたfilmsの2ndアルバム。2014年2月にヨーロッパ限定で特別盤CDとアナログ盤をリリース予定。
http://www.fleursy.com/riccolabel/discography/ric014_japanese.html

・Anoice「The Black Rain」
Anoiceの3rdアルバム。2014年にヨーロッパ限定アナログ盤リリース予定。
http://www.fleursy.com/riccolabel/discography/ric013_japanese.html

■ イベント情報
・2014年1月19日 大宮「ヒソミネ」にてmokyowライブ。
http://www.fleursy.com/riccolabel/events.html

・2014年3月2日 渋谷WWWにてAnoiceライブ。イベント詳細は近日発表。
http://www.fleursy.com/riccolabel/events.html

Tomoya Nakaの1st Album「ELEMENTS」がAYからリリース

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28歳の作曲家Tomoya Nakaの1st Album「ELEMENTS」がAYよりリリース。
PianoにAnoiceやFilmsでの活動でも知られるRicco Label所属のYuki Murata、MIXエンジニアに同じくRicco LabelのTakahiro Kidoを迎えた16曲のピアノソロアルバムが完成。

Tomoya Naka『ELEMENTS』(AY026)によせて―Aから拡がる成分
文=松浦 達(COOKIE SCENE)

Tomoya Nakaこと、中智彌(なかともや)は広島在住にして、若干28歳の気鋭の作曲家である。多彩なメディアへの曲提供やライヴ活動も目立っていたが、こうしてファースト・ソロ・アルバム『ELEMENTS』が届けられた。彼が作曲はもちろん、コンポーズもおこない、東京をベースに訴求性を高めているレーベル〈Ricco〉からYuki Murata(Anoice,RiLF)がピアノの演奏を担い、そのレーベル・オーナーのTakahiro Kidoがミキシングを担当している。
また、今作のA&R面でのディレクションとプランニングを行なったKatsuyuki Taguchi の存在もあり、東京から電子音楽を主軸に良質な作品を提供し続けている〈AY〉からのリリースとなる。要は、現在進行形の先鋭たち、レーベル間で組み合った試みといえる。

〈AY〉および、〈Ricco〉のアーティストたち、カタログ群から想像は出来るかもしれないが、今作もいわゆる、ポスト・クラシカルに属する要素が強くうかがえる。たとえば、ダスティン・オハロラン、ジャン・フィリップ・コラール・ネヴェン、ヤロン・ヘルマンに通じる繊細さと冒険性が現前しており、また、要所には、アンナ・ローズ・カーターさえも思わせる、上品でたおやかな翳りを帯びたピアノ・タッチからはサイレント・フィルムのような、ざらりとした質感とこまやかな息遣いがかすかに遠く聴こえてくる内容になっている。

そして、饒舌なピアノがふと息を止める瞬間のいとまに、ただ、音は故意の響きを惹起せしめる。
西洋楽理書をひもとけば、ピアノの丁度、中心にあたる鍵盤から出すことができる、一気圧下での一秒間、四百四十回もの空気を揺らせる音は「A」と呼ばれる。日本では、「イ」。Aからアルファベットが拡がってゆく過程が、このアルバム・タイトルたる“Elements”を示唆する気がする。要素、成分そのものということ、と、曲中の音を構成する体系と記号、それらをしたたかにはぐれる側道までを包摂する意味性。
最後には、幽玄にMiho Suzukiのフィメール・ヴォイスも聞こえてくる。曲名は「Requiem」。つまりは、遠い声と、近いピアノをなだめるようなフィーリングを縫いとめた上で、鎮魂のための静謐な祈念のような何かの残映がかすむ。

ポスト・クラシカルという音楽が時おり陥りがちな安易な匿名性の距離を越えてゆくのは、メロディーになりえない無音の差分といえるだろうか。「音が無い」のではなく、そこに「無い音」を置くことで、気が付けば、16曲の時間軸は歴史に垂直に立っている。垂直に立った音の時間軸はいつまでも褪せることなく、軽やかに泳ぐように成分要素表を書き替えてゆくだろう。

この『ELEMENTS』は、聴くたびに思わぬ発見、気付きがある作品であり、自然音やアクシデンタルな雑音、生活音を巻き込みながら成立するように、日常とつながった場所で優しく柔和に、多くの聴取者たる生活者を待っていると願ってやまない。

http://www.anay.jp/ay026/